ファイナンシャルプランナー試験では、土地を相続したときの相続税を求める計算問題が出題されます。
この相続税を求めるときに使うのが『相続路線価』です。
そして、路線価とは国税庁が毎年7月に発表する、『道路に面している土地の価格』になります。
路線価方式の計算は、流れさえ掴めばカンタンなので、しっかり覚えましょう!
路線価方式の覚え方とポイント!
路線価方式の計算問題は、不動産用語が使われます。
ポイントとなる用語はコチラです。
- 自用地評価額
土地の所有権を100%持っている場合の評価額。自分の土地。
(路線価×奥行価格補正率×土地の面積(㎡)) - 借地権
土地を借りる権利。 - 借家権
その土地に建てられた賃貸アパートや賃貸マンションに住む権利。
部屋を賃貸して、第三者が住んでいる - 貸宅地
誰かに貸している自分の宅地
借りている人は、その宅地に建物を建てたりできる。 - 借地権割合
国税庁のホームページに掲載。
試験では問題に割合が載せてあるので、それを使って計算します。
例)100Dと書いてあったら、Dの部分が借地権利割合を示します。
路線価の数字とアルファベットの意味。実はアルファベット(借地権割合)が大事!
試験では問題用紙に借地権割合が載っているので、そちらを使って計算します。
※路線価図の「300C」=300千円/㎡・借地権割合C
数字の方は単位が書いてあるので分かります。
路線価は千円単位なので、上の場合は300=30万ということになります。
しかし、『C』はアルファベットであるため、パッと見では分かりません。
なので、試験ではこのアルファベットの示す割合を覚える必要があります。
アルファベットは『借地権割合』を示しています。
土地を第三者に貸している場合は、その分だけ土地を自由に使うことが出来ないため、土地の相続評価が下がります。
その分、相続税も少なくなるのです。
アルファベットはAからGまであり、それぞれの借地権割合は、下図のようになります。
アルファベット | 借地権割合 |
A | 90% |
B | 80% |
C | 70% |
D | 60% |
E | 50% |
F | 40% |
G | 30% |
覚え方は、はじまりのA=90%さえ覚えれば、あとは10%ずつ少なくなるだけです。
路線価方式の計算問題は3パターンを覚えればOK!
ファイナンシャルプランナーの試験に出題される路線価方式の計算問題は、3パターンです。
- 借地権や借家権が設定されていない土地を相続
自用地評価額=路線価×奥行価格補正率×土地の面積(㎡) - 第三者に貸している土地を相続
貸宅地の評価額=自用地の評価額×(100%-借地権割合) - 賃貸アパート等を建てていて、第三者がそのアパートの部屋を借りている土地(貸家建付地)を相続
貸家建付地の評価額=自用地評価額×(100%-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
試験では、問題が3パターンのどれに当てはまるか考えて、計算します。
それでは、実際に例題を計算していきます!
❶借地権や借家権が設定されていない土地を相続するパターン

<例題1>
路線価300Cの道路に面した自用地評価額はいくらか?
ただし土地は建物が建っておらず、借地権の設定もない更地とする。
※奥行補正率 1.00
<計算式>
この場合、100%自用地の相続になるので、計算式は下記を使います。
図を見ると路線価は「300C」となっており、路線価の単位は『千』です。
アルファベットの「C」は借地権割合を示すのですが、問題に借地権設定はないとあるので、「C」は考えません。
建物も建っていないのであれば、借家権もありません。
路線価は「300」の部分です。
よって計算式と答えは
300×千×1.00×300(㎡)
=9,0000,000
=9,000万
自用地評価額は『9,000万円』です。
❷第三者に貸している土地を相続するパターン

<例題2>
路線価300Cの道路に面した土地の相続税評価額はいくらか?
ただし、土地を第三者に貸している。
※奥行補正率 1.00
この場合は、貸宅地の相続評価額を求めるので、計算式は下記となります。
まず、例題❶の時と同じように、路線価をみると『300C』となっています。
路線価は「300」の部分です。
そして路線価の単位は『千』なので、
自用地の評価額=300×千×300(㎡)
=9,000万
となります。
次に貸宅地評価額の計算式を使います。
また、アルファベットのCは借地権割合を示し、C=70%です。
貸宅地評価額=9000万×(100%-70%)
=9000万×30%
=2700万
貸宅地の評価額は2700万です。
※土地を相続しても、誰かに貸している土地は結局自由に使うことができないので、その分、評価額はごっそり下がります。
❸賃貸アパート等が建てていて、第三者がそのアパートの部屋を借りている土地を相続するパターン

<例題3>
路線価300Cの道路に面した宅地(貸家建付地)の相続税評価額はいくらか。
注1:奥行価格補正率1.00
注2:借地権割合70%
注3:借家権割合30%
注4:この宅地には宅地所有者の所有する賃貸マンションが建っており、現在満室(すべて賃貸中)となっている。
注5:その他の記載のない条件は一切考慮しないものとする。
(※路線価図の「300C」=300千円/㎡・借地権割合C)
<計算式>
この場合は、貸家建付地の相続評価額を求めるので、計算式は下記になります。
この計算式に、問題の数字を全てあてはめていきます。
まず『自用地評価額』から求めます。
必要なのは図の「300C」とある「300」の部分です。
「C」は借地権割合を意味するので、まだ考えないでください。
そして路線価の単位は『千』なので、自用地評価額は
路線価評価額×奥行価格補正率×土地の面積(㎡)
=300×千×1.00×300(㎡)
=900,000円
となります。
そして借地権割合を示すアルファベットは『C』となっており、70%です。
問題文でも『借地権は70%』と補足されていますが、もしもこの補足がない場合は、「C」のアルファベットから借地権割合を導いてください。
借家権割合は、補足文で30%とあります。
賃貸割合は、問題文の補足に『満室』とあるので100%です。
これらすべてを計算式にあてはめると、
自用地評価額×(100%-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
=9000万×(100%-(70%×30%×100%))
=9000万×(100%-21%)
=9000万×79%
=7,110万円
貸家建付地の評価額は7,110万円ということになります。
アパートの部屋を第三者に貸している(借家権)ので、自用地評価額より、評価額が1890万円さがります。
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