鎌倉の江ノ島電鉄、通称江ノ電は海岸沿いを通り、鎌倉の地元に馴染んだ有名な私鉄です。
鎌倉幕府が開かれた11世紀から発展してきた昔ながらの住宅街に、江ノ電が明治35年(1902年)に開通したことで、沿線にならんだ建物や家は、実は現代の法律ではありえない立地になっていることはご存知でしょうか?
この記事では江ノ電沿線に並ぶ家や建物の『現在ではありえない』立地について紹介します。
江ノ電に乗る機会があるときは、是非、江ノ電沿線に立ち並ぶ家の立地に注目してみてください。
江ノ電沿線の家の入口は線路を横切っていた。

筆者がスラムダンク聖地巡礼で鎌倉を訪れ、初めて江ノ電に乗った時、窓から見える沿線の家に違和感を抱きました。
画像の家に、違和感を抱きませんか???
電車が通る沿線に人が立ち入りできないようフェンスがあるどころか、玄関や門構えが線路を向いている?????
一般的な沿線沿いの家なら、線路脇に家が建っても敷地内に入る玄関などは線路とは反対側にあり、そして道路に接しているのが一般的です。
しかし、江ノ電沿線の家は敷地入口が路線の方をむいており、線路を横切るように建てられていました。
建物を建てる敷地は道路に2m以上接道する義務がある
日本では建物を建てる際は必ず『建築基準法』を遵守しなければなりません。
その『建築基準法』の中で、接道義務という項目があります。
建物を建てる敷地は道路に2m以上接道する義務がある

2mというのは火事が起きた際などの緊急車両が入るための、最低限の道幅です。
つまり、現在の日本で建物を建てる時は、必ず道路と幅2m以上接道する必要があり、道路に2m接していない敷地に建物を建てることはできません。
お店も一般住宅も江ノ電線路を横切る

江ノ電沿線沿いにある甘味処「無心庵」の入口も、線路を横切り狭い脇道を通ってお店に入る仕様になっていました。
2mの道路にはどこも接していません。
2mどころか1m幅もありません(笑)
お店に行くときは走る電車に注意しましょう。
電車が近づいたら線路を横切ってはいけません。

一般的な家の玄関も……。
脇道すらなく、門の目の前は路線。
門だけじゃなく表札やポストも見られます。
郵便局の配達の人や新聞配達の人はどうやって配達しているんだろうと考えていたら、ちょうど江ノ電沿線を散策しているとき、反対の線路脇に配達バイクを留めて、線路を横切り配達物をポストに入れる人に遭遇。
家の人だけじゃなく、配達する人たちも江ノ電の線路を横切るのが普通のようです。
家に冷蔵庫や家具を運ぶときも、線路を横切るんでしょうか。
気になります……。
建築基準法制定前に建築された建物は、接道義務の例外対象
古くからある家がいきなり接道義務ができたからと言って、道路に2m幅の通路を接することは難しいものがあります。
特に鎌倉時代から続く古い家並みの場所では、歴史ある建物を移動することすら困難な場合もあるため、接道義務の例外として判断されます。
接道義務ができたのが1950年なので、それ以前に建てられた建物は接道義務を免除されるため、江ノ電沿線沿いの家は入口が線路をむいているのでしょう。
鎌倉という歴史の古い場所だからこその建物立地です。
江ノ電に乗る機会があれば、沿線の家を見るのもおススメです。
