ファイナンシャルプランナー(FP)の本試験では、毎回頻出される問題で、以下のような実技計算があります。
- キャッシュフロー
- 6つの係数のグラフ
- 債券の利回りの計算式
- 株式投資指標の計算式
- 社会保険等
- 路線価の計算式
- 老齢基礎年金等
自分もFP2級、3級の試験勉強をしているとき、初めて見るこの計算式やグラフを覚えるのに、頭がこんがらがってしまいました……。
その時、計算式やグラフだけをノートにまとめたところ、過去問を解く時にすぐ確認でき、勉強中とても役立ちました。
同じように計算式が難しく困っている方がいるかなと思い、覚え方や計算式をまとめてみました。
グラフや計算式は、印刷して活用しやすいように、PDFデータをダウンロードできるようにしてあります。(ページ下部参照)
FP2級・FP3級の資格勉強をしている方に役立ててもらえたら嬉しいです!
キャッシュフロー・単利・一年複利
キャッシュフローとは、1年間の収入から支出(食費・家賃・スマホなどの固定費etc)を差し引いて残った貯蓄残高のことです。
そしてキャッシュフロー表とは、上記の『一年間の貯蓄残高』を元に、ライフプラン(結婚・出産・育児etc)と将来の収支状況を、年毎の時系列表にしたものです。
キャッシュフロー表にすると、
- 将来どれくらいの収入が見込めるのか?
- 将来どういう支出が発生するのか?
- 貯蓄残高はどれくらいなのか?
といった、『現在から将来にかけての、収入・支出・貯蓄を予想することができる表』と覚えておくと、イメージしやすくなります。
ファイナンシャルプランナーの試験では、このキャッシュフロー表の金額が、どれくらいになるのかを計算で求めます。
覚えておきたい計算式は下記になります。
n年後のお金の価値=現在の金額×(1+変動率)経過年数(n年)
※経過年数は乗算になります。
お金(貨幣・紙幣)の価値は、現在と将来で同じとは限りません。
経済や世界情勢によって、お金の価値は常に変動しています。
なので、変動率と経過年数(n年)を、現在のお金にかけます。
【単利…最初に預けたお金(元金)にかかる利息】
元利合計=元本×(1+年利率×預入期間)
【1年複利…利子にも利子がつく。】
元利合計=元本×(1+年利率)年数(n年)
※年数は乗算になります。
お金を銀行等に預けると、利息がもらえます。
この利息を求めます。
6つの係数|終価係数、現価係数、年金終価係数、減債基金係数、年金現価係数、資本回収係数
係数は社会の中で資金の積み立てや、ローン返済の運用計画を立てるときに使用します。
覚えるときは、各係数の頭が求めるお金の部分を示していることがほとんどなのでそこから覚えていくと、手をつけやすいです。
例)終価係数……終わりの金額を求める
例)年金原価係数……一定期間にわたって一定額を受け取るための最初(原価)の資金
終価係数
現在のお金を運用。
<終わりの金額がハテナ>

現価係数
一定期間後に目標を達成する元金
<始まり(現在)の金額がハテナ>

年金終価係数
年金みたいに一定額を積み立て。
<一定額積み立てた終わりの金額がハテナ>

減債基金係数
一定期間後に目標を達成。
<一定額を用意するための積立金がハテナ>

年金原価係数
一定額を毎年もらう為の資金
<毎年一定額をもらうための最初のお金がハテナ>

資本回収係数
手持ちの資金を一定年数で取り崩し
<お金を一定期間取り崩して毎年貰えるお金がハテナ>

公的年金等|離婚時の年金分割・老齢年金
公的年金制度とは、日本人の20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金と、会社勤めされている会社員の方や公務員の方が加入する厚生年金保険のことです。
社会人の方が毎月支払っている年金がこれにあたります。
実際に65歳になったときに貰える年金額について計算します。
年金は、まず3種類に分けられ、この3つが年金の基礎となるので、確実に覚えましょう!
- 第1号被保険者:自営業の人たちなど。
- 第2号被保険者:会社に勤務し、厚生年金や共済組合等に加入している会社員など。
- 第3号被保険者:2号被保険者の配偶者など。
離婚時の年金分割割合
合意分割の場合:双方の標準報酬総額×1/2
3号分割の場合:第2号被保険者の標準報酬×1/2
(婚姻期間中、第3号被保険者であった期間の年金)
老齢基礎年金等
65歳になったときに国から貰える年金額の計算式です。
- 1.老齢基礎年金受給期間
-
保険料納付期間+保険料免除期間+合算対象期間≧10年
- 2.付加年金額(1号だけが入れる年金。月額400円)
-
200円×付加保険料納付月数
- 3.基礎年金繰り上げ受給の減額率
-
0.5×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数
(60歳まで繰り上げると年金が最大30%減) - 4.基礎年金繰下げ受給の増額率(60か月が繰下げの上限
-
0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数
(70歳まで繰り下げると年金が最大42%増)
ただし、2の付加年金額は注意があります。
基礎年金を受け取るとき、繰り上げ受給/繰り下げ受給を選択することができます。
この時、1号だけが入れる付加年金は、下記のように追随するので注意してください。
繰上げ時=加給年金は繰り上がらない。
繰下げ時=加給年金も一緒に繰り下がる。
加給年金
加給年金とは、
厚生年金への加入期間が20年以上あり、被保険者が65歳到達時点で、『被保険者に生計を維持されている65歳未満の配偶者』、または『18歳到達年度末日までの子』がいる場合に加算される年金。
のことです。
年金における『家族手当』とも呼ばれています。
社会保険
社会保険とは、日々生活する上で、ケガや病気、事故といった健康面から、失業といった収入面で、万が一、国民の生活を国が保証する保険制度のことです。
この社会保険は、病院に行く時に使う健康保険から、仕事をしていてケガや病気、失業したときの雇用保険など、様々な制度でなりたっています。
健康保険
- ・健康保険の保険料
-
(標準報酬月額と標準賞与額)×保険料率
国保や社保など、毎月支払っている健康保険料です。 - ・傷病手当額
-
支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額の平均÷30日×2/3
- ・出産手当金額
-
支給開始日以前の継続した12ヵ月間の、各月の標準報酬月額の平均÷30日×2/3
雇用保険
会社員の方が毎月支払っている雇用保険料は、毎月の給与総額に「雇用保険料率」を掛けて算出されています。
- ・基本手当総額
-
失業したときに失業手当として貰える保険料のことで、日額でもらえます。
その基本手当日額の計算方法は、下記になります。
基本手当日額=(離職日の直前6カ月に支払われた合計賃金額÷180)×50~80%基本手当総額(上限)=基本手当日額×所定給付日数
となります。
所定給付日数は、雇用保険料を支払っている年数や、失業理由が自己都合なのか、会社都合なのかで変わってきます。
また、60歳~64歳については45~80%で、賃金の低い人ほど利率が高くなっています。 - ・高年齢求職者給付金額
-
基本手当日額の30日分または50日分に相当する額
- ・高年齢雇用継続給付金
-
・60歳以上~65歳未満の各月の賃金が60歳時点での賃金の60%以下に低下した場合の給付額
=61%以下に低下した各月の賃金額×15%
・60歳以上~65歳未満の各月の賃金が61%超75%未満に低下した場合の給付額
=支給率は15%から一定の割合で減る。 - ・育児休業給付額
-
=原則、休養開始時賃金日額の50%相当額
(育児休業の開始から6か月までは67%相当)
また、育児休業開始から、原則として子が1歳になる日の前日までが受給期間となっています。
一定の要件を満たした場合は、最大で子が2歳になる前日(2歳の誕生日の前々日)まで受給期間は延長可能です。 - ・介護休業給付額
-
=原則、休業開始時賃金日額×67%
債券の利回り|直接利回り、応募者利回り、最終利回り、所有期間利回り
利回りとは、投資額に対する利息、および償還差損益の割合のことです。
債券が発行、途中購入、途中売却、償還されるうち、「どこで購入し、どこで売却しているのか?」を確認すると、計算式を覚えやすいです。
直接利回り
⇒投資金額(購入価格)に対する毎年の利息収入の割合

応募者利回り
⇒債券の発行時に購入し、償還まで所有した場合

最終利回り
⇒すでに発行されている債券を時価で途中購入し、償還まで保有した場合

所有期間利回り
⇒債券の発行時に購入するか、すでに発行されている債券を時価で途中購入し、途中売却した場合。

株式投資に用いる指標|PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、配当利回り
株式投資の際に利益率や倍率などを計算するときにつかう代表的な4つです。
実際の試験問題では、頻出箇所です。
PER(株価収益率)
⇒株価が、1株当たり純利益の何倍になっているか見る指標

PBR(株価純資産倍率)
⇒株価が、1株あたり純資産の何倍になっているか見る指標

ROE(自己資本利益率)
⇒株価が、出資したお金(自己資本=純資産)を使って、どれだけ利益を上げたのか見る指標

配当利回り
⇒投資額(株価)に対する配当金の割合

株式指標「PER・PBR・ROE」の覚え方について、詳しくまとめてみました。
覚え方が分からないという方は、コチラをぜひ参考にしてみてください。

建蔽率・容積率
建蔽率・容積率は、不動産分野で出題されます。
建蔽率
敷地面積に対して建物を建てることができる面積(建設面積)

容積率
敷地面積に対する延べ床面積

路線価方式|宅地の自用地評価額、貸宅地・貸家建付地の評価額
「路線価」とは、道路に面している土地の1㎡あたりの評価額のことです。(国税庁)
ファイナンシャルプランナーの試験問題では、土地を相続し、相続税がどれくらいになるか計算する際、この路線価を使います。
路線価の計算式3つ
- 自用地評価額=路線価×奥行補正率×面積(㎡)
自分が自由に使うことの出来る土地の相続 - 貸宅地の相続税評価額=自用地評価額×(1-借地権割合)
『他人に貸している宅地』を相続する時。 - 貸家建付地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
『相続する土地に賃貸アパート等が建っていて、他人に部屋を貸している土地』を相続するとき。
実際の路線価方式を使った相続評価額の計算方法を、詳しく解説してみました。
計算式だけでは分からない方は、ぜひこちらを参考にしてみてください。

係数、利回り、株式指標、路線価・公的年金・社会保険をA4にまとめてPDFにしました。

係数のグラフ、利回り・株式指標・路線価・公的年金・社会保険の計算式を、勉強中すぐに確認しやすくするためにPDFにしました。
印刷しておくと、勉強中にスマホをいじらないようにしている方でもすぐに計算式を確認できます。
株式指標&路線価
ダウンロード⇒kabusiki_rosenka.pdf
6つの係数&債券利回り
ダウンロード⇒keisu_rimawari.pdf
公的年金・社会保険
ダウンロード⇒roureinenkin-1.pdf
無料の過去問サイト(解説付き)を活用して計算問題を解けるようになりましょう
計算式を覚えるためには、やはり計算問題を実際に解いてみるのが一番です。
ファイナンシャルプランナーの過去問は、書店等で問題集があります。
しかし、ネットでも無料で過去問(解説付き)にチャレンジできるサイトがあるので、そちらも同時に活用しましょう。
問題集だけでは、どうしても解く問題の数に、限りがあります。
直近から3年度分の過去問を解いておくと、色んなパターンの問題が解けるので、しっかりとした実力がつきます。
また、学習履歴から正答率がわかり、苦手分野を把握することもできるため、効率的な試験対策ができます。

まとめ|特にFP2級の実技は自力で計算できないと合格は厳しいです

自分がファイナンシャルプランナー3級・2級を勉強して、実際に試験をうけてみた体感は、
⇒理屈(基礎)を覚えていたら、どの係数グラフか分かるので正答できる。
⇒理屈(基礎)だけでなく、実際に電卓で計算して正答を導きだせないと合格できない。
というものになります。
FP3級は学科・実技共に全問マークシート式です。
ある程度ぼんやりとした知識でも、頭のどこかに覚えていれば、解くことができます。
しかし、FP2級の実技はマークシート方式ではなく、答えを自分で計算し、数字を記入しなければならない問題が多く出題されます。
その答えを導くには、計算式を覚えていなければ、答えが分かりません。
過去問で繰り返し計算問題を解いて、しっかり解けるようにしておきましょう。
下記に自分がFP2級・FP3級を受験したときの勉強方法をまとめてみましたので、よかったら参考にしてみてください。

